山口県光市母子殺害事件で莫迦が足を引っ張る

  

山口県光市の母子殺害事件を巡り、日本弁護士連合会(東京都千代田区)あてに脅迫状が送り付けられていたことがわかった。
被告(26)の主任弁護人を務める安田好弘弁護士を名指しして「処刑する」などと脅し、模造の銃弾のようなものも同封されていた。
A4判の紙1枚で、「凶悪な元少年は抹殺しなければならない。それができないならば、元少年を守ろうとする弁護士たちから処刑する」「最悪の場合は最高裁判所長官並びに裁判官を射殺する」といった趣旨の文章が印字されていた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070605i404.htm

  
 なんと言いますか、こういう莫迦というのは本当に迷惑な話ですね。
 私は別に現行の司法制度を絶対だと思っていませんし、弁護士と裁判官が、一般人よりも優先される謂れはないと思っています。

「(坂本弁護士事件で)弁護士たちは大きなショックを受けました。弁護士が拉致されるという社会は凄い恐怖です。あの事件でオウムは弁護士を敵に回したんです」
こう言うのは福島瑞穂弁護士です。
自分たちが狙われていない、自分たちとは関係のない市井の一般人が命を狙われているときには、人権や警察権力の抑制のほうが、一般人の命よりも重要だという活動をしていた人たちが、一度自分たちにも危険が迫るとなると、手のひらを返したように人権を無視して警察を嗾ける。
自分たちは犯罪者の味方をしているわけだから、犯罪者に狙われることなどないと高を括っていたら、オウムはそれを破ってきたため、大きなショックを受け、凄い恐怖を感じているわけです。そして、守ってくれるはずの弁護士を「敵に回した」と曰うわけです。オウムも弁護してやれよ。
私には俄かには信じられない感覚なんですが「弁護士が拉致されるという社会は凄い恐怖です」って、弁護士に限らず、誰であろうとも拉致されるという社会は凄い恐怖ですよ。
自分たちだけは、犯罪者を守る職業だから、犯罪者集団に狙われると思っていなかった人間が、一般人が狙われているうちは、それぐらいのリスクぐらい我慢しろと抜かし、よもや自分が狙われたら、手段を選ばずに「弁護士様を狙うとは何事だ」と。

http://d.hatena.ne.jp/takisawa/20061028#1162046447

  
 だがしかし、裁判官や弁護士が職務上のことが原因で殺される場合は、司法のシステム自体を密室化するなど、大きな変更を迫られることになる。「職務の遂行」が脅かされるからだ。
 「システムの変更が悪い」のではなく、脅迫はシステムの変更の覚悟があってのことなのか、という問題です。
  
 今回の件の安田弁護士の「弁護方針」が原因で殺される場合、これは「職務上」と言えるかどうかというと、微妙というか、個人的には「職務上ではない」と思っています。
 被告が、一審の段階から件の主張を行なっていたのであれば、それは「職務上」の「弁護活動」と言えるでしょうが、差し戻しで今更になって出してきたのであれば、「思想上」の「政治運動」に、司法制度を利用するという非常に問題のある行為だと思います。
 ですので、それを理由にして安田弁護士を殺すのであれば、「政治的」な理由による「殺人事件」で、百歩譲っても「不当な弁護活動」を理由にした「殺人事件」と判断できますが、ここで「死刑判決を出さなければ裁判官を殺す」となると、裁判官は「不当な活動」の根拠がない以上、司法のシステム自体を脅かす行為になります。*1
  

こういう人間が支援しているという印象を受けることが、本村氏にマイナス効果にならないことを切に願うばかりです。

http://d.hatena.ne.jp/takisawa/20061027#c1180420896

 インテリの本村さんの活動を、莫迦が足を引っ張る極致が、ここに現れたように思えます。
  
 もしこれで「死刑判決」が出たときに、安田弁護士は「私は脅迫に負けずに頑張ったが、裁判官は脅迫が恐くて死刑判決を出した」と言い募ることができるようになりました。
 莫迦というのは意図せずに敵に塩を送っちゃうわけですよ。
 莫迦な味方ほど恐ろしい敵はいないという見本のような奴です。

*1:実質的には「不当な弁護活動」であっても「司法システムを揺るがす」と言いはするでしょうけど