女教師20連発ブログ
ちょっとした事件でした。
甥っ子が見たがっているから新作ドラマのDVDを借りてきて欲しいと頼まれていたので、帰りにレンタルDVD店に立ち寄った。
ジャニタレの主演の連続ドラマで、全巻貸し出し可能だったので全巻をががっと集めて、そしておもむろに格闘技の棚に移動して、野良犬小林聡の引退記念DVDを発見するも、レンタル中で諦める。
仕方がないので、甥っ子に頼まれたDVDだけを持ってカウンターに行った。
この店は、新作のDVDは空箱が入れてあり、カウンター奥の棚に本物が置いてあるため、しばしカウンターで待たされる。
店員が奥からDVDを持って現れた。
店員が確認のためにカウンターにDVDを並べるんですが、成人男性が借りるようなドラマではないんですけど。思いっきり女子供向けで恥ずかしいから早くしてくれ。
二泊三日のレンタルで六本。帰り道に姉の家を経由して、そのまま袋ごとDVDを渡して、帰宅した。
家に帰って優雅にディナーを戴いていると、姉から電話があった。
「あんた、何を考えてるの!!」
怒っていること以外は何もわかりません。
「あんたね、自分が借りたやつまでそのまま入ってるよ」
「ないよ、全部だよ。なんかあった?」
「なんかあったじゃないわよ。シュウが見つけたんだからね。ホントに。このアホ!」
とりあえず、伝える意思があるのかないのかがわかりません。シュウとはDVDを頼んだ小学生の甥っ子です。
「何の話なの?」
「いいから、早くいらっしゃい」
どうしてこういう怒っていること以外は何も伝わらない会話をしたがるのだろう? そういうのはホント女性に多いと、吉田さんが言ってました。
私は食事の途中で姉の家にまた戻りました。
玄関先で姉は「はい、これ。あんたの」とDVDを渡してきます。相変わらず状況は理解できません。
さすがにこちらもイライラして「なんなんだよ」と言いながら受け取りました。DVDを見ました。
『女教師 中出し20連発 姫野愛』
このようなタイトルとともに、ジャニーズとは関係なさそうな露出の多い若い女性が印刷されています。明らかにジャニドラとは関係ありません。どうみてもアダルトビデオです。本当にありがとうございました。
しかし、ことここに至っても状況が理解できません。
「ん? なにこれ?」
「なにとぼけてんの。バカ」
「いや、なにこれ? こんなん入ってたの? 袋に前の人のが残ってたのかね?」
「あのねー、レンタルのレシートにも、このタイトルが書かれてるの。とぼけても無駄なの。シュウが見つけて、慌てて取り上げたけど、どうしようもないわね」
なんかの手違いがあったのだろうとDVDのケースを確認すると、頼まれたドラマのタイトルに「(4)」と書いてあった。あっ!
「これ、ケースと中身が違うんじゃん! ほら」
私は自分の無実をアピールしようと、ドラマのタイトルの書いてあるケースを見せました。
「だからこれ、四巻がないんじゃない?」
調べてみると、やはり四巻がありませんでした。
この店のレンタルシステムは、DVDにバーコードが貼ってあり、会計の際にはDVDのバーコードでレンタルするものを読み込みます。
しかし、新作のDVDの空ケースと、カウンター奥の棚にあるDVDの交換チェックは、ケースの番号でやっているようです。
姉は振り上げた拳の下ろし方がわからずに、キレたまま「あんたが確認しないから」と至極尤もな話で、私にレンタル屋まで交換に行かせました。
姉から渡されたAVを持ってレンタル店に行き、ケースと中身が違うという事情を説明しました。
調べてもらったところ、やはりその「女教師中出し20連発・姫野愛」のケースの方に、甥っ子が見たがっているドラマのDVDが入っていました。店員は平謝りです。
直前に、この二本を借りた客が返す際に、ケースに入れ違いに入れてそのまま返し、店員もそれに気付かないまま棚にしまってしまったのだろう、と。
前の客よ、入れ違えて返すのも大概だが、女子供向けのジャニドラと中出し20連発を一緒にレンタルすんなや。
私はDVDの中身を交換して、アダルトDVDを返し、元々借りるはずだったドラマのDVDを持って帰るつもりでいたところ、店員から“待った”が入りました。
レンタル会計の機械操作が、ケースではなくDVDそのもので行われているため、私が借りているのは飽くまでも「女教師中出し20連発・姫野愛」であって、ジャニドラ四巻目ではないので、手続きが必要だということだ。
なるほど、もっともな話です。
「じゃあ、こっち(AV)を消して、こっち(ジャニドラ)を借りるかたちの手続きをすればいいんですね?」
「申し訳ございませんが、キャンセルは出来ないんですよ」
「はい?」
えらいこと「こちらの不手際で」と平謝りだったわりには、わけのわからないことを言ってきます。
向こうの言い分としては、レンタルの会計時に、こちらがDVDをチェックして中身を確認する義務があるというのだ。
しかも、カウンターの掲示に「必ず中身を確認してください。間違いによるキャンセルは出来ません」と書いてあるというのだ。確かに実際に書いてある。
なんという教条的な!
まぁ、数百円のことでゴネてても莫迦莫迦しいので「じゃぁまぁ、こっちのドラマのレンタル手続きをして、新たに借りるしかないわけですね」と言ってから、ふと気になったことがあり、大声で聞いた。
「あれっ? じゃぁ俺、AVを借りたという記録が残っちゃうってこと?」
「あー、申し訳ございません。記録は消せないんですが、個人情報保護法で外部への……」
もはや店員の説明などどうでもよかった。
ふと気が付いたせいで、思わずカウンター周辺に丸聞こえの大声で言ってしまったのだ。
ここだけ聞いていると、AVを借りたのに記録に残さないでくれとゴネている客のようではないか。ふと横を見ると若いおねーちゃんもいる。目が合ったので私は軽い会釈をした後、店員に続けて言った。
「そちらの手違いで、見る気もないのに、間違って借りたことになってしまったけれども、でも記録はどうしても消せないってことなんですね? わかりました仕方がないです」
なんという言い訳じみた説明セリフだろう。
私は、甥っ子の見たがっているジャニドラの四巻を新たに借りる手続きを取り、レンタル料金を支払い、DVDを受け取ったとき、店員が言いました。
「こっちのDVDは返却でいいですかね?」
「女教師中出し20連発・姫野愛」のことだ。
私は、これのレンタル料金も払っており、返却期限は三日後だ。
一度も見ることなく、レンタル料金だけ支払って、記録にも借りたことが残るのに、ここで返すことになるのか?
しかし先ほど、あれだけ「見る気はないんだ」とアピールしまくった手前、ここで「やっぱ見ます」とも言えない。
納得いかないまま、できるだけ平静を装いながらも、明らかに押さえられない違和感を醸し出しながら「ああ、はい、いいですよ」と答えた。
店員は返却の手続きをしようとした瞬間、手を止めて私に聞いた。
「貸し出し時のレシートってありますか?」
「いや、他のを一緒に借りているので、家なんですけど」
「じゃあ、それと一緒に期限までにお持ちください」
そういうと、店員は「女教師中出し20連発・姫野愛」を私に手渡した。
さすが、お前は男だ。
返却時に必ずレシートが必要なのかどうかは知らないが、たぶん、なにか心に通じるものがあったのだろうと思う。
私は姉の家に寄り、ジャニドラ四巻だけを置いて、家に帰って夕食の続きをした。
夜、当然のことながら「女教師中出し20連発・姫野愛」を見たのだが、あまり面白くなかった。そもそも「女教師」にも関心はないし、イメージ的にメガネのはげたおっさんを思い出してしまう。
なんか妙にストーリー仕立てになっていて、嫌がる女教師を無理矢理に、という内容で、こういうのが好きな人もいるんだろうけれど、どうにも趣味が合わない。つまらなかった。
とりあえず五回だけ抜いて見るのをやめた。ヌいてすっきりしました!