「差別は悪いことであり、自分は悪くないのだから、差別ではない」という逆転の発想

  
  「売春は犯罪だ」と言っている人がいるから、どういう法律に違反しているのか問うたところ、知らなかった。
 「売春は犯罪だ」というのを見かけるが、どういう法律によって犯罪となるのか、本当に知ってるのか? 私は知らないんだが。
  
 macskaさんからトラックバックあり。どうも。
 昨日のエントリで「安易な姿勢で差別が語られて」と書いたことへのアンサーなのか?

これだから口をはさむのを躊躇したんだけど、巻き込まれてしまったものは仕方がない

http://d.hatena.ne.jp/macska/20070319/p1

 自分から口を出して「巻き込まれる」と表現するのは、ご愛嬌というところでしょうか?
 まぁ、些細な話はどうでもいいや。
  
 以下はmacskaさん宛だから、他の人は読んでも面白くないから承知の上でね。
  
 率直にいって、macskaさんはやり方を間違えたよね。明らかに下手を打った。
 意図のうち、6割は議論をまとめようという意図だったんだけど、6割は煽りになってしまっている。まぁ、残りの8割は自己顕示欲だからいいんだけど。200%女。
 結局は議論をまとめるどころか、煽りの意味しか残っていない。まぁいいんだけどね。煽る目的に目を向ければ、成功だったといえるわけだし。

「売春者を侮辱することが差別に当たるかどうかであれば、それは差別です」という点には同意。ただし、それが「議論の余地なく明白」だという合意が成立していない。つまり、あなたが自明だと思うことでも、他の人にとっては自明ではない。「こういう理由により、売春者に対する蔑視発言は差別とは言えない」という人がいるのだから、その理由がどう間違いであるのか具体的に反論すべき。「議論の余地なく明白に差別」という勇ましい決めつけは、ただ単に自分が議論から逃げているだけ。

http://d.hatena.ne.jp/macska/20070319/p1

 普通に読んでいただければわかると思うのですが、私はまず「差別」の定義のためにgooとyahooの辞書をリンクしていますよね。
 売春婦に対して、売春婦であるから侮辱する行為が差別に当たることは、辞書を信頼するならば、そのままだと思うのですが。
 偏見や先入観などをもとに、特定の人々(売春婦)に対して不利益・不平等な扱い(侮蔑の言葉を浴びせる)をすること。また、その扱い。
 辞書を信用しないならば、辞書を信用しない側が、辞書を否定する論拠で新たな定義をするべきでしょう。
  
 そのうえで「その理由がどう間違いであるのか具体的に反論」に関しては、これまた普通に読めばわかるように、私は「差別と区別は違う」とか「妥当な理由がある場合は差別ではない」という主流と思える「理由」付けに対して、私はそれを「言い換え」に過ぎず、実態は同じだと具体的に否定しているわけです。
 繰り返しになりますが、その根拠である辞書を信用しないならば、辞書を信用しない側が、辞書を否定する論拠で新たな定義をするべきでしょう。

いやー、すごいな、これ。自分が下した一方的な断定を、ただただ何の根拠も述べずに何度も繰り返し唱え続ければそれで済むとでも思ってるんだろうか。そんなに明白に差別だと思うなら、「こういう理由により、差別ではない」という相手の「理由」を片っ端から論破してやれよって思うんだけど。

 上の繰り返しになりますが、私は定義問題にならないように辞書リンクを貼って根拠としております。それが根拠にならないと思うのであれば、辞書を信用しない側が、辞書を否定する論拠で新たな定義をするべきでしょう。
 そして、主流と思われる「区別であって差別ではない」という「理由」付けを「言い換えに過ぎない」と否定しているわけです。
 私が書いたものを、macskaさんが見ないのは、私の原因とは普通は言わないわけです。
 『「こういう理由により、差別ではない」という相手の「理由」を片っ端から論破してやれよって思うんだけど』というのは、macskaさん一流のギャグだと判断すればいいんですかね?
 アフリカ東部ウポポ族のンガチャメニャさんが、「それは差別ではない。ミャチャヌ神からの啓示があった」といえば、それも片っ端から論破する必要を感じて、ちゃんとやる人なの?
 逆に言えば、macskaさんが、私が主流であると判断したもの以外で、納得いく理由が提示されていたのであれば、それを教えていただければありがたいですけどね。
  
 この点、非常に不可思議で、yukiさん宛にも私宛にもmacskaさんは

「こういう理由により、売春者に対する蔑視発言は差別とは言えない」という人がいる
「こういう理由により、差別ではない」という相手の「理由」
yukiさんのエントリの周辺を見回したところ、そういう(差別にあたるのかどうかという)議論がたくさんある

 と、何度となく言っているにもかかわらず、具体例が全く見えてこないんですよね。
 「あるよ、あるよ。ある、ある」と言いながら、この期に及んでも一例も出してこないと言うのは、なんらかの意図が隠されてるんでしょうか?
 最初から「ほらどうだ」と出されれば、一発で済む話なんですけどね。
 まさか「あるある詐欺」でもないでしょうから、おそらくあるんでしょうけど、私が否定している「言葉の言い換え」以外のメインストリームにある主張を出さないというのは、何らかの意図や事情があるんですか?
 私の主張から外れる何らかの「差別ではないとする論者」がある程度まとまった説得力を持っているならば、私は気が付かなかったので、素直に教えていただきたい。
  

そう言っても別にいいよ。でも、仮に差別の中に「悪い差別」と「悪くない差別」が存在するという考え方を採用するのであれば、当然ながら「どんな理由があっても差別は悪いから、差別しても良い理由なんてない」という言明は成り立たなくなる。こっちはわざわざ、「どんな理由があっても差別は悪い」という、yukiさんの規定に沿って議論に応じているのに、なんでいまさらお互い違った定義で議論しなきゃなんないのか分からないなー。

 でだ、私の主題はここです。
>妥当な理由があるとした場合、それは定義上「差別」とは呼ばないのね。
 と書いてしまうからさ。
 答えなくていいけど、嫌がらせのつもりで書いておくと、この定義は誰がしたわけ? こちらには辞書があるわけだが。これは「みんな」の引用ではなく、yukiさんの規定でもなく、あなたの「地」の文だよね?
 なんでyukiさんのせいにしてるの? まぁいいや。
  
 というか、ひとつ事実を提示すると、読んでないと思うし、読んでないことは全く問題ないんだけど、こちらのコメント欄で、yukiさんは以下のように書いています。
>差別とはなにかから始めなければなりませんということですが、(略)差別とは何かから始めてもらってかまわないですよ。
 簡単に説明すると、「差別は絶対悪ではない」という主張に対して、議論する用意がある、ということです。
 つまり、差別だと認めたうえでその正当性を主張する議論に、参加する意思も準備もある、ということです。
 であるならば

「こういう理由があるから」差別ではない、と主張する批判者に対して、yuki さんは「理由があれば差別しても良いというのはおかしい、差別主義者だ」と反発するばかりで、それらの理由が不当であるという論理をほとんど述べていない。

http://d.hatena.ne.jp/macska/20070318/p2

 というのは、当てはまっていなくて、むしろ『「こういう理由があるから」差別ではない』と主張する批判者側こそが、macskaさんが自ら既に認めているように、「売春者に対する侮辱発言は差別的である」からこそ、まずは差別者側が差別と認めよ、というやり方のほうがmacskaさんの本意じゃないんですか?
 差別であることを「差別ではない」という側がオカシイのは誰の目にも明らかな話で、「差別であること」が自明でないならば、それが「差別かどうかを問う」議論をすればいい。
 「差別は悪いことであり、自分は悪くないのだから、自分のしたことは差別ではない」という逆転の発想で言葉を言い換えてるほうが間違っているわけでしょ。私には、その逆転の発想以外は見つけられなかったのですが。
 そうでない具体的な「こういう理由」があるならば、それを提示していただかないと、一歩も進めないんですが、どれなのでしょう?
  
 そして、yukiさん宛の部分を読む限り、ご自身も手段の失敗を認めていらっしゃるようにお見受けします。
>そうした議論内容よりも、yukiさんの議論様式の方が問題が大きいと思ったのでそちらに限ってコメントしたけれど、わたしの立場を明示しないままyukiさんの側の問題だけ取り上げたのはフェアではなかったかもしれません。
 これは確かに一つのやり方です。一つの手段としてはありえます。
 しかし、私が既に、自らを差別と認めたうえで、その是非を問う、という正攻法な手段でyukiさんと議論が成り立つという成功例を出している以上は、macskaさんもご自身も認めていらっしゃるような明らかに一方的な手段で、端的に失敗だった、と言って差し支えないでしょう。
 結果的には、ほとんど煽るのが目的であったと言って差し支えない効果をもたらした大失敗ですね。煽りが目的なら成功だよ。
 本来のスタンスとしては、「yukiさん&macskaさん VS 瀧澤」という構図だったはずなのに。ちゃんと取り返しつけられるのかね?
  
 順序からすれば「差別かどうか」を争った上で、私が成功したように「差別の正当性」を議論すればよかったわけです。
 であるから私は、「差別かどうか」を争うために、macskaさんのいうところの「みんな」を、私が「全員が莫迦だ」と言ったわけですが、その部分に反発したのは「莫迦」と言われた「みんな」ではなく、何故かmacskaさんだけだった。
 まぁ別に、macskaさんが「みんな」を肩代わりして私と議論をするのが悪いとは思いませんので、続けてもいいんですが、最後に「私が言ってるわけではなくて『みんな』が言ってるんだ」で終わってはガックリですが。
 ともあれ、どのみち「こういう理由により差別ではない」という主張を提出していただかないと、話にならないわけですが。
  

せんせー、たきざわさんが、へんさちをりゆうにひとをさべつしていますー。

 当たり前だろ。私は莫迦を差別していますが、わざわざ被差別側にまわる発言をしなくていいですよ。
 私はmacskaさんが「みんな」と称した「全員」は莫迦だと言いましたが、私がmacskaさんに関することで莫迦と言ったのは『妥当な理由があるとした場合、それは定義上「差別」とは呼ばない』という発言を「莫迦なこと」と評しただけです。
 やり方としては下手で害悪だと思いますが、私はmacskaさんを莫迦だとは言っていないので、わざわざ莫迦のふりをする必要はありません。
  

差別に「良い差別」と「悪い差別」があるとすれば、差別というだけで「うしろめたさ」を感じることはないはず。「うしろめたさ」が差別につきまとうのは、「良い差別」という概念が成り立たないからであって、成り立たない概念を掲げた主張をすべきだと他人に押しつけるのは無茶苦茶。

 順番が逆でしょ?
 「正しいと思うのであれば」という前提で、「正しい差別」と言えばいいし「良い差別」と言えばいいと私が書いたの。
 後ろめたさが差別に付きまとって「良い差別」という概念が成り立たないと思うのであれば、それは「正しいと思わない」と言うことになる。お分かりになりますかね?
 私がそう思うという話ではないですよ。私は「良い差別」という概念だってありうると思いますよ。ただ概ねは「良い悪い」ではなく他の価値観に比較して負ける場合がほとんどだとは思うけれども。
 必要とあれば、また重ねて説明します。
  

だいたい、相手が「後ろめたさ」から「差別ではない」と主張している、と決めつけるのはおかしい。「差別と区別」というレトリックが差別の隠蔽によく使われるというのは事実だけれども、「売春者に対する蔑視発言は差別ではない」と言っている人たちは、ほんとうに全然うしろめたさを感じていないんだと思うよ。「差別ではない」という言明の裏にうしろめたさがある場合もあるけれど、そうでない場合だっていくらでもある。

 社会科学の全否定であれば、それは大枠で賛成するのですが、私は、その分析や理解に関して有益だとも判断しているので、利用はする立場です。何もわからないよりは仮定でもわかったほうがいい。
 で、まさか主観だけが理由じゃないよね? あまり本人の主観を理由に駄々っ子のようないちゃもんをつけられても返答に困ります。
 おそらく、二丁目の電気屋のご主人近藤武蔵さんも「社会契約説って、俺は社会と契約した記憶なんてないぞ」と思うかもしれません。これで近藤武蔵さん、ルソーもホッブスもロックも論破です。すごい。
 主観とかではなく、私よりも説得力のある説を提示されるなら、私はすぐに乗り換えますよ。
  

米国で昔あった奴隷制度というのは現代の基準では明らかに差別なわけだけど、当時の白人奴隷所有者たちのほとんどはそれを差別だとは認識していなかったよね。それは、かれらが奴隷制度をごく自然で当たり前のことと思っていたからであって、うしろめたさを感じていたから「差別ではない」と強弁していたわけじゃ全然ない。

 えっと、私は「差別概念」自体を、ここ数十年で広がっている新興宗教だと書いておりまして、ようやく先進国でかなり普遍的に広がってきた概念と思っています。
 鎌倉武士が「人権思想」を知らなくても莫迦だとは思いませんが、現代日本人が知らなければ莫迦だと思っています。なお、知ると信じるは違いますよ。
  

普通、バカというのは、論拠を述べずに自分の頭の中にある結論だけを繰り返す人のことだけどね。

 書いてあることも読めない奴も莫迦と言うよ。
  
 まぁ、煽り合いをやっても仕方がないんで、まとめると
 「言葉の言い換え」以外の「売春者を侮辱することは差別ではない」という主張が、メインストリームにあるのかどうか。
 「本人の主観は違う。無意識でした」とか、そういうのは問題外ね。私は無意識の人間に対して「お前は莫迦だ」と言っているわけですから。
 まともに取り合うべき理由として「売春者を侮辱することは差別ではない」という主張がメインストリームにあったならば、それは私の見落としで、改めて反論するなり、その主張を認めるなり、するでしょう。
 これをmacskaさんが「ある、ある、あるよ」と言うからには、きっとあると思うんで、素直に教えていただきたいとお願いします。
 正直いうと若干素直になれないのは、だったら最初から先のエントリにて、「コイツなんかはちゃんとした理由だ」と出してくれりゃいいのに、とは思うけど。隠している意図がわからない。出しゃいいんだから。
  
  
 で、yukiさん宛の部分からになるんだけど、*1

「売春婦に対する蔑視や偏見を言語化すること」が差別であるということがきちんと論証されていない。

 これさ、「売春者」ではなくて、「女」であろうとも「貧乏人」であろうとも「低偏差値」であろうとも「障碍者」であろうとも「黒人」であろうとも「ホームレス」であろうとも「前科モン」であろうとも、同じ発言するんですか?
 するならば、私は馬鹿馬鹿しいと思いますが、一貫していると思いますけど、そうでなければ、かなり自分に都合の良い恣意的な話ですよね。
 まさか、他はきちんと論証されちゃってないですよね? 隣の飼い犬が「女や障碍者を侮辱することは差別ではない」と主張しているんですが、こいつを納得させないと、きちんと論証されていないわけだよね。*2
 この根幹部分の「御都合主義」が、今回の問題点となっているんでしょ。
 それともちゃんと売春婦のみに通用する「こういう理由で差別ではない」と言える主張があるんですか?
  

ある行為が差別であることが自明であり、それを疑う人は差別主義者だという決めつけが非常に問題。なぜなら、そういう議論様式を用いればどんなに妥当な批判でも黙らせることが可能となってしまうから。

 なりませんよ。現に私は黙っていないでしょ。
 macskaさん自身も、差別は絶対悪だというイデオロギーに囚われすぎてるんじゃないの?
  
 「決め付け」だの「意識してない莫迦もいる」ではなくて、代案の説得力で勝負したほうがいいと思うよ。
 そっちに説得力があるなら、私は素直に転向するから。
  
 あと、yukiさんに対して、煽りになっちゃってることを一番心を痛めているのはmacskaさん自身でしょ?
 で、macskaさん、長いのは謝る。
  
  
 追記: http://d.hatena.ne.jp/macska/20070320/p1#c1174401045 コメントした

*1:*

*2:脚注追記3/20 13:30 http://d.hatena.ne.jp/macska/20070320/p1 エントリが追加されてたのね。というか、こんな程度の認識だったのか。主観について合意が必要なら最初から差別なんて一つも存在しないじゃないか。まさかとは思ったが、本当にこんな主張だったとは。参った。もうこれで世界中から差別は消えた。これぞ究極の逆転の発想だ