文章から偏差値を読む

  
 さて、先日のエントリにて、私が書いたことで、インテリ眼鏡男子こちらのエントリを経由して、大野さんが愚痴っておられます。
 なんかコメント欄を見ると必死に言い訳に終始していて、不祥事の発覚した政治家のごとく低姿勢です。
 それは良いとして、以下のような記述がありました。

瀧澤氏の記事(特に女性のブログ文章についての記述)は私から見ると、はてな界隈で反発や疑義が起こるであろうことはある程度想定の上で、例によって天然の振りをして女性の神経を逆撫でするように書かれているのであり、あの記事に反応することは瀧澤氏の術中にハマることにしかならないので、無視を通すのが良いと思う。どういう狙いがあるのかはわからないが、何も意図せず記事を上げることはないだろう。

http://www.absoluteweb.jp/ohno/?date=20070902

 残念ながら、特に裏の意図はそんなになくて、まぁ、nanaがあまりにもすんげー可愛かったからそれを言いたかったというのはあるんですが、おそらく私がどう書いても、正面から批判する人間はほとんどいなくて、捨て台詞や陰口で終わるんじゃないかなという程度です。
 私に名前を上げられなかった人が「私は可愛いのに!」と怒るというのは、二名を除いて有り得ないと思っていて、その二名は既に「可愛い」と書いているから表面上は無傷じゃないかな、と踏んでいました。「私は可愛い」と直接的に言わずに「わかるもんか」という反応がきたら、女心が感じられて愛らしいなと思っていたので、その人たちには「わかるよ、あなたは可愛いよ」と返してあげようかと思っていたぐらいです。
  
 ただまぁ、誰が可愛いと書くことによっての、潜在的な反発というのは起きるだろうなというのは思っていました。
 不快に思う人は多いだろうし、しかし不快に思っても、口に出して不快感を表明することは厳しいだろうなということは考えていました。
 というのも、自分だって生活において常にやっている「ルックス差別」というのを批判するというのは、天に唾を吐くブーメランですし、綺麗事臭がプンプンしてしまいます。
 「私はぶさいくだよ! チクショー!!」的なネタ以外は、難しいでしょう。
 ただ単に綺麗事だけで書いてくる莫迦はいないだろうと思っていたし、いたとしても、痛い人なので良いだろうと思っていました。
  
 というのも、例えば「ルックスが全てではない」という批判があるとしたら、それはその人が「ルックス」に縛られている上に振り回されていることになります。
 というのも、私の先のエントリを読み返していただければわかる通り私は「文章から可愛いかどうかの予想がある程度できる」としか言っていないのです。
 私は「ルックスが全てだ」とは当たり前ながら一言も言っていなければ、それどころか先のエントリでは「ルックスは重要だ」とすら言っていません。
 私が言っていることは「だいたいわかる」という話しか一切していないのに、「ルックスが全てではない」という批判が私向けであるとするならば、それは語るに落ちたというべきものでしょう。
  
 以上の理由により、潜在的な反発はあれども、表顕的な批判は少ないだろうと思っていました。
  
 さて、閑話休題で、ルックスを話題にすることの暴力的抑圧についてです。
  
 えっと、ブサイクはオフ会に出ようが部屋でタイプを打ってようがブサイクなんですよ。ブサイクからは逃れられないんです。
 せめて顔の見えないネットだけでもルックスから解放されたいと言っても、ネットの中で生活するのも少佐ぐらいしかできないわけで、お前どの面下げて実生活を送ってるんだよ、という現実の前にはネットの「顔なし」性なんて屁みたいな救いなんじゃないの? それが必要だなんてどんなネット依存よ。
 つまりどういうことかというと、現実を耐えられるんだったら、ネットなんて簡単に耐えられるでしょ? 現実が耐えられないというのならば、少佐はなんと言うでしょう。
 オフ会に出たいけど、ルックスがキモいから抑圧されている、なんて感じる人間は充分にキモいですよ。そこ自己認識してください。
 普通に出席して、後でルックス強者から陰で「キモかったね」と言われりゃいいじゃないですか。そんなの毎日、学校や会社で言われていることじゃない。いまさら気にすることでもないですよ。
  
 ネットは、被抑圧者のための開放治療の場として存在するわけではないのですから、実社会で許される規範で行動して文句を言われる筋合いはないと心得るべきでしょう。文句は言えるけれども、言い返されて終わりのこと。
 実社会で差別問題のカウンターとして言われる「弱者を守れ」という発言者こそが、弱者を認定している暴力的まなざしの問題が発生するわけです。
 これはもう大野さんのコメント欄や草さんのエントリで言われていることなので繰り返しませんが、これらの言説についてもサイードを踏まえられる程度のリテラシーを持つ者には当たり前の話であり、哀れな偏差値しかない人の中にはサイードも知らなければサイードの言っている意味を理解もできない人は大勢いるわけで、抑圧について語っている姿を見せることが既に暴力的抑圧なわけです。
 しかも、なんかネットでインテリ眼鏡面をさらして、小首傾げたクールなポーズで不精髭を生やしてスマートに決めちゃって、女性と音楽をやってますみたいな野郎が、実際にインテリな言説で抑圧を語るなんて、これはもう酷い暴力ですよ。
 抑圧を気にしだしたらスポーツも娯楽も全滅だ。そんな簡単なことがどうしてかわからない奴がいるなら、多少でも偏差値上げて理解できるようになってプチ抑圧する側に回って来い。
  
 原則論で言うならば、スローガンとしては「ネットをルックス弱者の聖域として死守せよ!」ではなくて、「実生活でのルックス差別を解消せよ!」とならないと意味はないでしょう。
 しかしこれ、隗より始めよ。美人を好むな着飾るな。男女を問わず全員でいつ何時もブルカ着用を義務付けますか? テレビに映るもブス多し。視聴率が取れるのか? 
 これはもはや、平等「博愛」としては、共産主義革命よりも難しい意識革命が必要です。
  
 で、だ。
 顔が全てじゃないよ。偏差値が全てじゃないよ。学歴が全てじゃないよ。収入額が全てじゃないよ。職業が全てじゃないよ。体力が全てじゃないよ。性別が全てじゃないよ。性格が全てじゃないよ。身長が全てじゃないよ。出身地が全てじゃないよ。資産が全てじゃないよ。育ちの良さが全てじゃないよ。歌の上手さが全てじゃないよ。文才が全てじゃないよ。抑圧は無限に続くよ。
 さて、どうする? どうやってパートナーや友達を選ぼうか? 拒否権無しのフリーセックス社会にするか? くじ引きにするか? 文鮮明に決めてもらおうか?
 TOMOKI君は元気かな?