惨劇! 姑の下着を鋏で切り刻む鬼嫁!

  
 タイトルと内容に関係はありませんし、そもそも内容も結論もありません。
   
 私と同い年の知り合いです。彼は河相我聞をしっかりだらしなくした顔をいつもへらへら笑っている、そんな感じの男です。我聞に似てるのでガラモンとします。
 ガラモンは、県内公立高校トップの進学校で、サッカー部のレギュラーでミッドフィルダーをやっていました。高校二年の頃からクラブやディスコに通うようになり、夕方までサッカー夜はディスコで成績はかなり落ちました。
 実際の偏差値は明治や法政もヤバいかも知れないレベルまで落ちましたが、学校推薦のおかげで在京の有名私立に入学し、さらなるナンパに励みます。頭は着実に劣化していくものの、高給で有名な業界最大手の超有名企業に就職します。しかも女受けの良い。
 女をとっかえひっかえしながら遊び倒した上に美人で魅力的な奥さんと結婚しました。よもやたった五年で未亡人になろうとは。
  
 私は男子校という隙だらけのアジールで女のいない油断した生活をし続けました。異性のいない環境で緩んだ緊張感で過ごした三年間により、私にとって異性は特異な存在になっていました。
 男子校から普通に女性がいる環境に移り、私は異性を必要以上に警戒し、必要以上に恐怖し、必要以上に意識していました。周囲にいる女性には関わることなく、近寄ってくる女の子には失礼な冗談で怒らせ、惚れ込んだ女性のみとは仲良くなるも交際は断られ、女っ気なく過ごします。女と仲良くしているちゃらちゃらしたモテ男にはしっかり嫉妬心は持っていましたね。ルサンチマン丸出しで、自分のことよりも女にモテるためを優先するモテ男を嫌ってました。非モテ童貞一直線です。
 しかし、ずっと断っていたんですが、男友達からメンバーが足りないのなんのと説得されて女性も参加する飲み会に行くようになりました。私は下戸なので、金を払って女性と会話する苦行を体験するだけという、面白くもないものでした。振られた女性に一途な片想いをし続けてましたし。
 それでもまぁ、継続的に参加するようになったのは、それまで若干の疎外感を覚えていた「飲み会の反省会」に、オブザーバーではなく参加できるようになったからでした。
 飲み会で女の子に調子合わせて会話をしていた友達が、その「反省会」では、自分の話や行動が、如何にインチキ臭かったかを自嘲的に積極的に笑い話にしていました。それは私にとっては結構衝撃的で、参加せずに聞いていたときと、参加してから聞くのとでは、印象が随分と変わりました。
 なんかこのままずっと女性と会話できないのもマズいという意識もありましたので、学生最後の一年間はほぼ毎週、下戸のくせに飲み会に参加しては友達の部屋で反省会をしてました。誰も持ち帰りをすることのない、のどかな飲み会でした。
 仕事場では男同士での飲み会が多かったのと、たびたび自分で飲み会を開くのもどうかと思われたので、就職後は飲み会という形ではなく、女性一人を誘って食事に行くというリハビリを始めました。
 一週間毎日連続で相手を日替わりで変えながら食事に誘ったりしながらリハビリを続けました。私はまだ学生時代に振られた女性に一途な片想いをし続けてましたから、誰一人口説くことはしなかったので、今思えばさぞ不思議な人に思われていたことでしょう。
  
 もちろん私の行っていた男子校でも、他の高校の女生徒と遊びまくっていた奴が多い中で、私のような輩は少数派だったわけですから、まずそれまでに形成された性格的資質が大きく影響しているでしょう。
 またガラモンが進学校で学業優先していたら、サッカー部でのレギュラーやディスコ通いもなく、私のように大人しく品行方正な修道院的学校生活を送っていたかもしれません。それまでに形成された性格的資質か、サッカー部での活動で女生徒からの黄色い声に味を占めたのか、ガラモンは女性に走りました。もっとも私は勉強に勤しんだわけではありませんが。
 とまれ、ガラモンが学業優先していたら、ガラモンの派手な女遊びも、実は結構、紙一重だったかもしれないわけです。そうすれば弄ばれて襤褸雑巾のように棄てられたり、性病を感染されたりした被害女性も少なかったわけです。神は残酷だ。
 しかし、ガラモンはそこで、女にモテたいという阿呆な努力に一所懸命に頑張ったわけです。おそらく人間性というか、性格的資質でしょう。
  
 私にとってリハビリはかなり後々まで苦痛でしたし、未だに完治はしてません。派手な女性は未だに苦手ですし、どっか違和感というか、どうしても自意識過剰になりがちですし、嫌われないだろうかという心配は常に拭えません。ただリハビリの方法が原因か、女性と一対一で遊びに行くのは割りと平気なんですが。ガラモンからはそれは異常だと言われましたが。
 リハビリを始めてからは、モテるためにちゃらちゃらしていた男どもに対して、あんだけ努力してるんだからそりゃ報われるよなぁ、というか、報われたいだろうなぁ、などと思うようになりました。 
 ガラモンは、非モテの童貞どもは、モテようと努力している人間の努力を見下している、と批難する。たしかに見下していて、後にしっぺ返しを喰らったりするわけです。非モテ童貞は人を好きになっちゃいけないね。ここは関わりのない人を好きになっておこう。
 ともあれ、関わりのある人を好きになってしまったとき、慌てて努力を始めようとするわけですが、敗者復活はなかなかできないんですよね。
 「コミュニケーションが苦手」とか「空気が読めない」とかのレッテルを貼られてしまうと、最初から拒絶されてしまうケースが多いんですわ。実際に私も拒絶しますしね。
 女性なんかはもうちょっと残酷なイメージがあって、それが悪いというつもりはないんですが、「あー、もう私あの人は苦手」とか言ってるんじゃないかな、なんてもうね、女性は怖いね。
 とりあえず、ある年齢まで女性を苦手に思ってしまうと、努力しようとしても、生半可な努力では跳ね返されて尻込みしてしまうし、それは努力が足りないからだと言われても、それ以上努力すると警察に電話されてストーカー認定だし、敗者復活が難しい。
  
 私は、男友達が巻き込んできたという機会があったのと、私がイケメンであったというおかげで、リハビリがある程度スムーズに行ったという幸運があったわけですが、それを非モテ童貞の人に「あんたもやれ」というのは、酷であると思うわけですよ。
 ガラモンは、思春期の男女関係の履歴で一生が決まるといいます。思春期に努力しないと、なかなか非モテからのリカバリーは利かないというわけです。
 しかし、思春期の時期に、男女関係を成立させるにしても、努力だけではなんともならなくて、資質というものがあるわけですよ。仕事や勉強なら「勤勉」という努力も有効ですが、恋愛はそうはいかない。資質のない人や、思春期に外してしまった人は取り返しがつかない。
 初春に優勝が決まって、あとは消化試合ですわ。ゲーム差は離れていく一方。ここからの逆転を狙うならば、自分のプライドもなにも、傷付く覚悟が必要でしょう。そして、それが無駄になるかもしれない覚悟も。
  
 そういうば、年齢性別関係なく誰とでも仲良くなれる女の子がいて、決して飛びっきり可愛いわけでもなく、ベティちゃんのような感じの。
 その娘とは仲良くなりやすかったのでえらいこと仲良くなって、周りから「付き合ってんのか?」と言われるぐらいに仲良くなったわけですが、結局そのベティちゃんが顔が広いものだから、そのベティちゃんの友達とも仲良くなって、半年ぐらいたった頃だろうか、ベティちゃんから「良かったじゃん。楽しいもんでしょ?」といきなり言われて面喰っていたら、女の子と遊ぶのも楽しいもんでしょ、と。良かったね、いっぱい異性の友達ができて、と。
 とりあえず私は悶絶したのですが、今思えば、巻き込んできた男友達もですが、このベティちゃんが一番リハビリの役に立っていたかもしれません。
 リハビリしたければ、年齢性別関係なく誰とでも仲良くなれるベティちゃんを巻き込め。