説明書を読まない人たち
私は目が不自由で、矯正しないことにはまともに物を見ることが出来ないため、コンタクトレンズとメガネを併用しています。
コンタクトレンズはソフトコンタクトで、ソフトはハードよりもメンテナンスが面倒でして、私はメンテナンスに、コンセプトワンステップというのを使っています。
これは、まず容器に過酸化水素と時限性で効果を発揮する中和剤を入れ、そこにコンタクトレンズを入れます。過酸化水素水でコンタクトレンズが消毒され、消毒が終わった後で、時限性の中和剤が勝手に中和をしてくれるので、翌朝にはコンタクトレンズを目に入れるだけ、という塩梅です。
しっかり中和をしておかないと、過酸化水素は目に入ると非常に痛いので、中和錠の入れ忘れや中和前の装着は、文字通りの泣きをみることになるので注意。しかし、中和剤にはピンクの色素が入っているので、液体がピンクになっていれば、中和終了の合図ですから安心です。
ここに出てくるベティちゃんと話をしているときでした。ベティちゃんが恐ろしいことを言い出しました。
ベティちゃんが「コンタクトレンズをすると白く濁って見えるようになってきた」というので、私が「洗浄はどうしてるの?」と聞くと、ベティちゃんは「洗ってない」と答えたのです。ちょちょちょちょちょ
「面倒臭くない?」
なんかもう、聞いているだけでこっちがなんかもう、でーじわじわじするような話です。目なんというものは、随分と恐怖を感じるわけですよ。
それで私はコンセプトワンステップを薦めたわけです。コンセプトワンステップならば、そんなに手間がかかるわけではないと、使い方の説明を一通りしました。するとベティちゃんは聞いてきました。
「いくらぐらいするの?」
amazonで検索すると一ヶ月で約¥1700だそうです。他店でも安いところを探せば、送料込みで¥1500ぐらいが相場でしょうかね。半年とか一年の纏め買いで¥1300強かな。
私が、一日五十円ぐらいと答えるとですね、ベティちゃんは「お金がない」と言うわけです。
いや、目ですよ目。目玉。こわいよー。それぐらいはお金かけようよ。白く濁るんでしょ?
もうとにかく他人の目玉ながら、いやでいやで仕方がなかったものですから、私は翌日、買い置きで持っていた専用ケースのついた12日間分のお試し用をプレゼントしたのです。これで楽さがわかれば続けるんじゃなかろうか、と。
「ありがとう。ヤバい本気で惚れちゃいそうだ」とか、けっこう女子力高く感激していたわりには、後日に顔を合わせても何の感想もなくなしのつぶてです。
一週間ぐらいして聞いたわけですよ。「どうだった?」と。
「あれ、私には合わなかったみたい」
いやいやいや、合うも合わないも逢坂の関。単なる消毒なんだから相性なんて関係ないでしょ?
「目が痛くなるんだよね」
「それ、中和剤を忘れてるんじゃない? 朝、ピンク色になってる?」
「うん。なってるよ」
なんでだろうかと思いながら会話をしていくと、ようやく原因がわかりました。ベティちゃんは、中和が終わったコンタクトレンズの上に一滴、消毒液を垂らしてから目に入れていたのです。をい、それ過酸化水素水だ!
まぁ、私もコンタクトレンズを装着する際には、コンタクトレンズの上に一滴、ソフトコンタクト用の目薬を垂らすんだけどね。でも過酸化水素水はどうよ?
「そうか! それで痛いんだ!」
新品をあげたんだから説明書だってちゃんとついてるぢゃん。説明書ぐらい読めよ。パッケージにも「絶対に点眼服用はすんぢゃねー」と注意書きしてあるじゃん。
例えば、私は、なにか新しいものを買った場合、とりあえず手にしてそれとなく触ってみて、わからないときにはすぐに説明書をちゃんと見るタイプなので、高価な機械や身体に関わるものなどは、怖くて最初は必ず説明書に目を通すわけですよ。
だから取扱説明書を読まない人というのは、私は怖くて仕方がないわけですよ。
もちろん、分厚すぎて最初から読まないことを前提としている、辞書型の取説、たとえば、パソコンやケイタイやHDDDVDプレイヤーなどは、使っているうちにわからない箇所に当たってからしか、取説を引かないですけど、取説を読まない人は、わからない箇所に当たっても、取説を読まない。いろいろ試して、諦めて、他人に尋ねる。
私の家族は私以外はみんな取説を読まない人たちなので、購入した段階から「接続と取り扱い説明を一通りよろしく」とかふざけたことを抜かしてくる。
どうせ私だって初めての商品を触るわけなんだから、親兄弟が説明書を読むのと、私が説明書を読むのとの違いしかないわけで、私が説明する手間が増える分だけ無駄だ。必要な箇所だけ流し読みさえすればいいだけなのに、なんでそれをしない?
すると、普通に「説明書、読めないんだよね」とか答えるんよね。まぁ、文盲ならば仕方あるまいか。つか、お前ら私より偏差値高いだろ。
必要に迫られたなら、異常を感じたら、説明書ぐらい読めばいいのに、それでも読もうとしないという理由がわからない。
しかし、取説を読もうとしない人たちというのは存在している。読もうよ。
ということで、明日に続きます。