ずっと変わらないアナタを愛し続けられない

  
 私は、両親にそれぞれ兄弟姉妹が多いため、従兄弟の関係に当たる親戚が多い。私自身も兄弟が多い。グレイシー一族のように増殖している。
 従兄弟の数が異常に多いわけだが、そのほとんどは結婚していて、独身は私を含め四人しかいない。それ以外はみんな結婚生活を営んでいる。
 そのうちの二組が離婚しそうでしない状態が続いている。一人は女で一人は男だ。
  
 この離婚しそうでしない従姉妹は、父方の祖父母にとって初孫であって、私はかなり後半の孫であるため、私との年齢差は相当離れているので、一緒に遊んだという経験はなく、従姉妹というよりは叔母さんに近い感覚だ。
  
 従姉妹は、高校のときの教師と結婚している。逆に言えば、その旦那の高校教師は教え子と結婚した。
 従姉妹は、あるスポーツをやっていて、実業団で活躍するレベルまで行ったのだが、その基礎は高校の部活で培われたものであり、その高校の部活動で顧問兼コーチをやっていたのが、今の旦那さんである。
 年の差は十五歳も離れており、体育会系の指導者であるので、世間一般の夫婦に比べても、かなり亭主関白な関係性であっただろう。
  
 今は校長先生をやっており、もう後数年で定年退職しようという段になって、その従姉妹から離婚を切り出されたらしい。
 その理由は「上から物を言われることにもう耐えられない」というものらしい。
 全く理解し難い話であって、おそらくこれまで二十数年間、ずっと上から物を言う以外はない関係性であっただろうと思われる。事実そうらしく、ずっと上から物を言われてきたことが「夫婦じゃない」と我慢できなかったそうだ。
 たまったもんじゃないな。
 私の予想では、四十路にして新しい別の男でも出来たんじゃないかと邪推しているわけだが。
  
 最初から二十数年間ずっと同じ関係性を築いてきて、それを突然に「ずっと不満だった」という物言いは有りなのだろうか?
 優しかった人の優しさがなくなってしまった、というのではない。旦那は変わっていないのだ。徹頭徹尾、二十数年間、上から物を言ってきたのだ。
 それを今になって離婚したいのなんのと不満に思うならば、結婚する段で言ってくれよ、と。だいたいこれで「これから改めよう」といえば離婚を回避できるのか?
 どう考えたところで、なんらか別の要因があるとしか考えられない話であるわけだが、果たして、出会った頃から全く変わらないというのが離婚の理由になりえるのだろうか?