根性無し

  
 自分の根性の無さ加減にガックリくるような夢を見た。
  
 私は今、ちょっとした筋トレをやっているわけですが、本当に根性が無い。
 ダンベルにしても腕立てでも腹筋でも、とにかく一度限界までやってみようとか思ってやってみるわけですよ。
 すると例えば腕立てでも、四十回ぐらいでもう嫌になって心が折れてくるんですね。
 ほとんどオートマティカリーに設定回数が五十回にセットされて、予想通りに五十回で「限界」が来るわけです。
  
 すると、私は折れた心に問うわけです。
 本当に限界だったのか? あと一回も出来なかったのか? それは本当か?
  
 スピードスケートの清水宏保は、トレーニングをする際、失神するまで自分の身体と心を追い込んでいたり、身体の限界を超えて嘔吐していたりする。
 これはいくらなんでも異常なケースのわけだが、自分のあまりの根性の無さに嫌になる。
 ここで、「でもこれからは少しづつでも頑張って根性をつけていきたい。 .fin」と書けば、多少は前向きなウェブログになるのですが、もうね、根性をつけるのも嫌だなと思うぐらいに根性がない。
 それでも、もし、追い込まれたときには何か底力が出るんじゃないか、命懸けの根性を見せるんじゃないか、そんなことを信じていた時期が僕にもありました。
  
 自分の根性の無さ加減にガックリくるような夢を見た。
 理由はわからないが、グランドキャニオンのような渓谷から落ちかけて、慌てて手を伸ばしたところ、なんとか手すりを掴むことができた。
 足をかけるところもないし、腕の力であがろうにもできなかった。プロジェクトAの時計にぶら下がるジャッキーの状況だ。
  
 私は思考を始めた。
 無理にもう一度上ろうと試みて、無駄に筋力を疲労させると筋力の限界が早まり、死に急ぐだけである。
 ならば疲労を最小限に抑えるために、ただ静かにぶら下がっていようか。無駄につらい時間を延ばすだけである。
 どのみち助からないのか。
 私は、家族に感謝の念を送り、片想いの女性の顔を思い出して名前を呼び、愛を送って一度大きく息を吸って、自ら手を離した。
 そして落下していく瞬間、身体がビクッと反応して目が覚めた。
  
 これは目が覚めてから凹んだ。
 根性が無いのは嫌というほど自分が一番良く知っているが、ここまでかと思うとガックリきた。
 夢の中で「夢だからいいや」という認識は全く無かった。
 落ちたら死にます。そう認識しながら「ぶら下がってるの大変だし、どうせ助からないだろうから、じゃあ落ちよ」とえらく簡単に決断した。
 根性が無いにも程がある。
  
 まぁ、でもこれからは少しづつでも頑張って根性をつけていきたい。 
  
  
.fin