浮気心と浮気体
よくある話として「どこからが浮気か？」というのがありますよね。
例えば、別の異性と二人きりで食事に行ったら浮気か？
あるいは、キスをしたら浮気になるのか？
それとか、ギンギンにいきり勃った陰茎を、しっとりと濡れた陰唇にゆっくりと滑り込ませ、ときに緩やかにときに激しく、腰を前後に動かすと、まるでねだるかのように透明の蜜がどんどんと溢れてきて、それにせかされるように鼓動も早くなり、軽く首筋を噛みながら中で果てたら浮気になるのか？
もしくは、あの女とヤりてーなー、と思ったら浮気なのか？
これを考える際、どうしてもつい「精神と肉体」という二元論に分別しがちなんで注意が必要ですが、とりあえずここではそれをおきます。
誰であるかを明記すると差し障りがあると思うので名前は出しませんが、あるお嬢さんがですね、浮気の定義について「心がなければＯＫ」と書いているのを見て、ふーむ、そうなのかぁ、と。これどうなの？
というのもですね、そんなの「心はお前だけだよ」って、そんなの自己申告しかないわけぢゃないですか。
ヤっちゃった、という事実があったりとかと話が違うわけですよ。言い張ったもん勝ちでしょ。「今、俺のちんこはこっちの女のまんこに入ってるんだけど、俺が一番愛しているのは、今も変わらず、お前だよ」で納得しますか？
男には性風俗店に対する歴史があるため、女の人には「風俗は浮気じゃない」という人もいる。これは完全に「風俗嬢には情はなくセックスする」という前提があるものと思われる。
つまりこれは、「精神」と「肉体」が分離していて、「肉体」が浮気していても、「精神＝心」が私に一番向いていれば、みたいな考え方が根底にあるわけです。
私は「精神と肉体」はそんなに切り分けて考えられませんし、セックスなんてしてしまえば嫌でも情だって移るわけだし。そもそも私は真性ドＳですから、肉体とだけセックスしたってしょうがないわけです。相手と人格を陵辱しあってこそのセックスでしょうよ。肉体だけならリアルドールじゃいかんのか？
「恋愛とは愚か者の安易な逃げ道」とは、アレッシャンドリ・デュラン*1の言葉ですが、この「恋愛」なんてものは一種の狂気ですから、いつかは次第に治まっていくわけですよ。人によって程度の差はあれども。そんな心許ないものを根拠にするの？
エロスの「愛」なんてものを素直に信じてて大丈夫なのかね？ と。頭を良くしてあげよう、とか思うわけですよ。
純粋に「愛」というものが存在して、それが自分にずっと向けられていると信じるのは、ただ単に「愛されたい」というだけの願望で、まぁ承認願望なのですが、お互いの何の努力もなしに、そんな状態がずっと続くはずがないのであって、私はその「努力」というのの近道が「貞操義務」だと思うわけです。
言ってみれば、私は童貞である以上、ちょっと優しくされるともうやたらと惚れやすいですし、好意を全開にしてぶつかってこられるとすぐに惚れます。
うっかりすると惚れるわけですから、そうそうはうっかりしていられないわけです。それでもうっかりしてしまう。
惚れるというのは、ある一定以上の割合で、不可抗力であるわけですから、それを咎められても知らんですよ。好きで好きになったわけじゃないよ、と。
その点、肉体接触というのは、うっかり知らないうちにちんこがまんこに入っていたということは、滅多にあることではないですから、ほとんど全てといって差し支えないかなりの部分においてコントロールが可能な領域です。気が付いたらちんこがまんこに入っていた、というのは、気が付いたら好きになっていた、なんてことよりも、圧倒的に可能性は低いわけです。
私は、コントロールできないところでの「心はお前一筋だよ」というよりも、コントロール可能な肉体接触をしない、という姿勢のほうを重視しますけどね。そもそも肉体が精神に与える影響は非常に大きいんですから。
「肉体接触」と言っても、握手とか、手のひらで肩を叩いたとか、そういうのは含まれませんから、抱擁とか、性的な部分への接触などが、私の線引きになります。腰に手を回すとかもアウト。手を繋いで歩くとかも微妙にアウト。嫉妬深いんです。自分もしないし。しない理由は、惚れられると面倒だからだけど。
もっとも、浮気の線引きを「肉体接触」にしてしまうと、オナニーを見せ合うのは接触無いからＯＫなのか？ みたいな突っ込みを受けたことがあるわけですが、普通は見せないところを見せちゃダメだろ。鼻くそをほじってるところとかさ。
ただ、浮気の「気」は「気持ち」の気だとすると、まぁ「心」に重心が傾きがちなのはわからないではないんですけどね。
しかし、私としては「心が行っていなければいい」という人って、もしその人自身が不可抗力で別の異性に心が移ったとき、簡単に「心が移ったから」と私から離れていくんじゃないか心配になりそうです。
「つがい」になるのに、愛があるならあるで楽しめるけど、別に「愛」だけしかないわけではないのだから、心許ないエロスの「愛」にそこまで重視しなくてもと思うわけですが、ここら辺は「恋愛を楽しみたい」のか「末永く一緒にいたい」のか、目的の違いなのかもしれません。
