DEATH MASTURBATION

    
 竹内由貴の『精少年トオル』という短編ドタバタSFホラーがあります。
 中学二年生の清家通くんが、友達から借りたアイドル雑誌で、初めてのオナニーしたところ、そのオカズに使ったアイドル山本奈緒が、時を同じくして事務所のビルの屋上から飛び降り自殺をします。通くんは翌朝、その山本奈緒の自殺のニュースを知り、そのタイミングの悪さに気まずい思いをします。
 オナニーを覚えたばかりの通は、早速翌日、今度はクラスメイトの京子ちゃんをオナペットにしてオナニーしたところ、その翌朝、山本奈緒を尊敬していたという京子は、自分の部屋で後追い自殺をしていました。
 通は、連日、自分がオナニーに使った対象が次々と自殺するという現象が不気味で、無関係だと思いつつも、気味の悪さからオナニーを封印します。しかし、覚えてしまった快楽が忘れられず、二週間後に、父親の隠していたアダルトビデオでオナニーをすると、またもそのAV嬢が交通事故で死亡します。
 さすがに通は関連があるのではないかと信じ始め、絶対にオナニーをしないように誓うわけですが、そこはもう盛りが付いているわけで、ついついしたくなってくるわけですよ。
 通は考えて、エロマンガをネタにオナニーしました。これなら絵だから死なないだろうと。ところが、そのエロマンガの作者が描くときにモデルにしていたと思われるグラビアアイドルが、ドラマの撮影中の事故で死んでしまいます。絵は確かにそのグラビアアイドルに似ていましたし、通はそうだと思い込むわけです。
 通は、自分が性欲を満たすたびに人が死んでいく恐怖で、オナニー自体が出来なくなります。
 だが一ヵ月後のこと。通はとうとう夢精しました。夢には、水泳部で一緒の美咲ちゃんが出てきていたのです。その美咲もクモ膜下出血で死んでいました。
 それでもう通は、中学二年生でありながら、如何に自分の性欲を枯らせることが出来るのか、禅寺に修行に行ったり、修道院に入ったり、自称仙人の下に弟子入りしたりと、ドタバタ喜劇が繰り広げられるわけです。
 最終的に、性欲から解脱することの出来なかった通は、既にモデルも死んでしまっている浮世絵(春画)をオナニーに使うようになり、それが高じて、若くして浮世絵の研究家として知られた存在になる、というしょうもない話でした。
  
 その『精少年トオル』の続編の作品のタイトルが『DEATH MASTURBATION』というもので、これは『DEATH NOTE』のパロディのようです。
 通が、正義の死刑執行人として、生きている価値のない悪人をオカズにして次々とオナニーしていくというくだらないお話。
 極悪人のヤクザなどをオカズに射精にまで到らないといけないため、嘔吐と戦いながらオナニーを続けるうちにゲイに目覚めていくというドタバタ振りを、是非とも藤原竜也主演で見られないものでしょうか?