昼の不快な出来事

  
 ホント、俺、ついてないよ。
 昼休みに喫茶店にランチを食べに行ったわけ。
 するとさ、店内放送でアユがかかってたわけ。アユ最高じゃん。
 俺、アユを聞きながら煙草を吸うのが至福の時間でさ、どうせ注文したうどん定食もまだ来ないから煙草に火を点けたのよ。
 そしたらまただよ。店員が文句をつけに来るわけ。店内は禁煙だってさ。
 もういい加減にして欲しいよね。
 朝のこともあったから、さすがの俺もキレちゃってさ、つい声を荒げちゃったわけよ。
 「そんなこと言いに来る暇があるならうどん定食を早くしろよ」
 正論でしょ。お客様を待たせておいて、そのお客様に文句をつけに来るって、何を考えてるんだろうね。
 お客様は神様であってさ、お客様の満足は店のためのものじゃないの?
 俺がせっかくいい気分で煙草を吸っているのに、なんで店がわざわざお客様の満足を奪いに来るわけ? 逆でしょ?
 で、「灰皿すぐに持って来い!」と怒鳴ってやったら、バカみたいに「店内は禁煙ですからご協力ください」とか言ってるの。頭がおかしいんだね。
 「そんなのはお前のところの店が勝手に決めたルールだろうが。俺に守る義務はない」と返してやったら、なんか店長まで出てきて、わけのわからない理屈をお客様に対して言い返してくる。
 健康増進法っていうの? なんか、飲食店では煙草を吸っては駄目とかいうの? よく知らないんだけどさ。
 なんかさ、バカじゃないの。法律だから決められた通りにしなきゃならないとかって思って生きてるわけ?
 守るべき法律か、守らなくていい法律かを自分で判断するとか出来ないのかね? 言われた通りに勉強してきたから、言われた通りにしか出来ないバカがどんどん作られていくんだよ。
 自分で考えて、自分の好きなようにする。こんな当たり前のことが出来なくなってきてるんだね。法律だからって、アホか。
  
 「煙草が身体に悪いんだったら、お前のところで売ってるコーヒーだって、ケーキだって、全部身体に悪いだろ!」と言ってやったら、「他のお客様の迷惑なりますし、法律で決まってますから」だって。ホント馬鹿だよ。自分がないんだね。
 だから俺は最初に文句付けてきた店員を指差して「こんなオタクみたいな奴に店員をやらしているほうがお客様への迷惑だろ。クビにしろ!」って怒鳴ってやった。店員もなんかブルブル震えてるの。わらえる。涙目で何も言い返せないの。だったら最初から文句付けてくんなっての。
 結局は店員と店長を並べて土下座させてさ、うどん定食のお金も払わなくていいということになったんだけど、かわりに昼飯の間は煙草は吸えなかったし、「うちは禁煙なので二度と来ないでください」とか言ってたけどね。
 「二度と来ないでください」なんて、商売の人間が言っちゃいけないよ。こっちは客だよ? まぁ、頼まれたってもう二度と行かないけどね。
  
 だいたいさ、昨日行った居酒屋で、俺、二箱以上の煙草を吸ったのに、何も文句なんて言われなかったぜ。おかしいじゃん。
 あれ絶対に「法律で決まってる」とか言っとけば、こっちが騙されて引き下がるなんて思ってたんじゃないかな。なめんなよ。こっちはバカじゃないんだからさ。
 なんで俺、こんなについてないんだろうなぁ。あーもう、思い出すだけで腹が立つよ。