悲しいぐらい惚れやすい生き物の遥か遠い片思い

  
 私は童貞は生涯関わりのない人を好きになって一生を終えるのが一番望ましいと書いたわけですが、本来ならば誰にも惚れなきゃいい。好きにならなきゃいいんですよ。
 しかしねぇ、なんでだろうね、惚れやすい。とにかく惚れやすい。
 「両思いも二次元萌えと同じ」という課題を出された革命的非モテ同盟の古澤さんであってすら、リアルであろうが二次元であろうが「好意を持たなければいい」という主張は今のところしていません。誰も「好きになるな」とはなかなか言わない。
 これはもう不可抗力と言うか、好きになっちゃうんだよなぁ。これが。なんでこんなに惚れやすいんだろうと不思議でしょうがない。
 ミスチルの桜井も確か「♪童貞は悲しいぐらい惚れやすい生き物♪」とか歌ってたと思いますが、余りの惚れやすさに早く枯れないかな、とか思うんですが、簡単に好きになっちゃうんだよな。
 童貞は、特に非モテであると、ちょっとした善意を見せられると、多少でも興味を持ってもらえると、ただ挨拶されただけで、それだけで惚れますよ。なにしろ優しくされ慣れてなかったり、興味を持たれること自体がまれですから。まず接触がない。しかも少し勘違いしたり、またすぐ大きくネガティヴに否定したり。
 中学時代なんかは、別に興味もなかったのに何故か夢に出てきたらそれだけで好きになっちゃったり、学生時代なんかは、学食で別の人との人違いで話しかけてきた女の子もすぐに好きになってたし、職場でも帰ろうとしてるときに「あっ待って、私も帰るから準備するまで待ってて」なんて言われたらもうね、休憩室でソファーに据わって待ってる間は、初めてのトルコ風呂で緊張しながらお湯が張るのを待ってるような心境でした。風俗に行ったことないけど。
 話しかけられたらそれだけで惚れますよ。街を歩いていて「今よろしいですか?」なんて派手な女性に話しかけられたら、それだけでちょっとキレ気味に「一体いくらなんですか?」と答えそうになります。どうせラッセンの絵を買わされるんでしょ? 買わされるに決まってるんだから。たいてい向こうの女性が売春の交渉をされてると勘違いして引くので買わずに済んで功を奏することもあります。
 ネットをちょこちょこ触ってるとべにぢょのらぶこーるというページにたどり着きました。なんとなくずるずると読み進めているうちにこんなことが書いてありました。

 (ウェブログは)何かをしてあげたくて書いてるのか、それとも何かをして欲しくて書いてるのか?
 うーん。
 わたしは・・・あなたのことが知りたいから、かな?
 これを読んでるあなた、そう、そこのあなた。
 あなたのことがもっと知りたくて、こうして文章を書いてるんです。

 おい、ちょっと、これ、おい、そこのあなたって、あれだろ? これ、俺のことだよなぁ? どう読んでも俺ですわ。いやー、はっはっは。
 って、これちょっとホントきたねーよ。こんなんもう好きにならないはずがないだろうよ、全く。こんなん今日初めて行った私のことであるわけがないんだけれどもね、それはわかるんだけど、こんなん勘違いしちゃうじゃない。いや、普通はしないのはわかるけどさ、するでしょ? こういうことやめてくれないかな。もう、大好き。
 いやもうホントだってこれなぁ。こういうのはなんかもうあれだよ、なんというかもうさ、惚れさせようとしてわかってて書いてるわけじゃん。いや、違うって言うかもしれないけど、こっちはしっかり惚れるんだよ。どうしたってさ。
 「あなたのことが知りたい」とかいうからもうこっちはしっかりときめいちゃって、なんだよあの、責任とって結婚してください。
  
 結局ですね、こういう思わせぶりな態度を取ってね、こっちが惚れたら「何を勘違いしてるの? キモい」とか言うんだよね。なにそれ。
 「あなたのことが知りたい」とか言っておきながら、知ったら気持ち悪がるなんて罠が世の中にあふれすぎなんですよ。
 そんなことぐらいで惚れるほうが悪いとか言われても、そういう仕様なんだからしょうがないじゃないか。
 可愛いと思われたいとか、可愛がられたいとか、そういう効果が見込まれる行動を取っている以上は、そういうのに引っかかる男はいるんですよ。餌つけて釣っておいて、こっちが素直に釣られたからって文句言うなよ。もうさ、交際してくれとかやらしてくれとか言わないからとにかく結婚してください。
  
 友達が好きな女の子に告白に行くから付いてきて欲しいというから付いていって、その非モテの友達が告白するも儚く撃沈し、友達に「しょうがないよ、お前よく頑張ったよ」なんて慰めながら帰ろうとすると、告白された女の子が泣きながら「ごめんね」とか言われるとさ、そんなん俺まで惚れちゃうだろーが。
 ほんとになんかそういう好感度上がるようなもう惚れさせるようなことやめてくれないかな。反則だよ、そういうのはさ。
  
 いやまぁ、斯様に世の中には惚れさせようという罠が大変に多く張り巡らされていて、非モテの童貞を苦しめるわけですよ。
 とりあえず現在は、童貞を社会が守ってくれないわけですから、自分の身は自分で守るしかないわけですよ。古澤さんは暴力革命だというわけですが、私はとりあえずその罠から身を守るための手段として提示しているのが、童貞は生涯関わりのない人を好きになって一生を終えるのが一番望ましいというものです。
  
 童貞は惚れやすいですから、一度に何人もの女性を好きになったりするのですが、その一方で、恋愛至上主義にしっかり感化もされていて、妙に純愛を好んでいたりします。
 惚れやすいのはしょうがない。仕様だから。
 だったら、その惚れてしまった中の一人を、別格で「特に惚れている女性」という選定を勝手にしてしまい、それに「純愛」を利用して、それを変えないという決定をする。他の新しく惚れてしまう女は、その「特別に惚れる」と決めた女への操を立てるということで、ちょっと惚れているけれども、純愛を貫くために仕方がないから諦める、という納得のさせ方で、惚れる心を抑えます。これは極めて意識的な作業です。
 この「意志の力で愛し続ける」という行為は、実は恋愛至上主義に全く反する行為であるというのは、また機会があれば後日にでも書きますが、特定の誰かを「意志の力で愛し続ける」というのはこれが結構難しい。

 まず飽きる。徹底的に飽きないまでも、やはりどこかで磨耗する。交際している人間でもやはりどこかで刺激を入れない限りマンネリ化するんですから、片思いは否応なく飽きる。もうこれは最高のおかずだ、これ一本で一生オナニーできるとか思っているようなAVでも、気が付けば飽きて次の作品を探すもんなんですよ。
 次に嫌な面が見つかる。一人の女性を好きでいようというのは純愛で、女性も純愛は好きなくせして、非モテ童貞がそれを実行すると「ストーカー」と呼ばれて嫌悪されます。するともう女性というのは、こちらが好意を示しているのに、徹底的に嫌います。それも言ってみれば当たり前なんですが、まぁ、そういう態度を取られながらずっと好きでいることは難しいです。
  
 そこで私が奨めているのが童貞は生涯関わりのない人を好きになって一生を終えるのが一番です。
 確かに飽きます。でも意志の力で頑張ってください。もうね、生涯関わりのない人で、どうせよくその人となりも知らないんですから、自分でなんか考えて、設定を補完してしまえばいいんですよ。ツンデレだろうがなんだろうが、自分の好きな女に染め上げちゃってください。脳内で。
 次に、生涯関わりのない人なんですから、ストーカーにもなりようがないんですよ。一度だけこっそり写真を隠し撮りして、それを額に入れて御真影として毎日拝めば、相手には何の迷惑をかけることはありません。上原さん、愛してる。
 ネットのブログでもいいですわ。コメントもトラックバックもメールもいけません。しっかり惚れ込んだら二度とアクセスしてもいけません。もうアドレスは消しちゃって。
 後日見に行ったら「今日ゎカレシとラヴラヴデート(はぁと)」なんて書かれていては目も当てられませんから。
  
 あるいは昔の片思いの人を、遠くからもう一度片思いをしてみるなんて、ロマンティックでいいぢゃないですか。
  
  
 なんか、童貞ブログと化してきてしまったんで、明日は関係のない話題にします。