童貞思考とヤリチン思考

  
 先日、例の極悪非道な遊び人・ガラモンが、女性から恋愛相談を受けていると聞いた。
 その相談というのが、「超玉の輿で二度と出ないであろう条件の相手と結婚を前提に交際中だが、もうどうにもこうにも性格が合わないというか、身勝手な上に非モテ童貞臭いんだけどどうよ? つーか、別れたいけど結婚はしたいんだが。」というものらしかった。
 で、その話自体もなかなか面白かったから書きたいと思うのだけれども、書かないで別の件。
  
 で、そのガラモンと、一般論としての「女性からの恋愛相談」についての話になりました。
 童貞である私からすると、恋愛相談をしてくる女性というのは、非常に扱いにくいわけです。
 というのも、恋愛相談をすると言うことは、恋愛において、不満があるか疲れているかという状況にあることが多いわけです。酷いときには大きなショックを受けていたりする。
 そういう今の恋に自信がなくなりおちんこでる女性と話をするとき、私などは驚くべきほど自意識過剰にも、下手に過剰に優しい返答を返してしまってうっかり自分のほうに来るということのないように充分に注意をしたりします。下手をしたら、思ってなくても「別れないほうが良いじゃない?」とかまで言ってしまいます。モテ童貞の悲しい性です。
 で、例えばそれが好意を持った女性である場合などは特に、今度は「別れるように仕向けて自分が掻っ攫いたいんじゃないかと思われるんじゃないか」などと考えて、思ってなくても「様子を見たら?」とか言ってしまいます。
 なんというか、落ち込んでる女性に付け込むことに、罪悪感を感じまくりなんですよ。
 恋愛に悩む女性なんて、付け入る隙がありまくりんぐで、相談をされている時点で多少は好意は受けているわけですから、落ち込んでるところをちょっと慰めればもう後一押しのような気がするんだけど、しない、みたいな。「冷静な状態のときに、改めて自分を選んで欲しい」という童貞ファンタシー。
 そういう話をしようとガラモンに語り掛けました。
  
 「恋愛相談をするときってさ、女性はたいていおちんこでてさ、付け入る隙が見えるわけじゃん」
 「そうそうそう。大チャンスだ」
 「そ、そうか」
 「そりゃそうだよ。♪ヤるなら今しかねぇ♪だな」
  
 なんかもう、用意ドン!の段階で、予想通りに童貞思考とヤリチン思考の差が露骨に出てました。
 想定の範囲内だったので、私は先ほどの童貞的思考による話をしたわけです。付け込むことに抵抗があるんだよね、と。
 ガラモンの主張はこうでした。
 「恋愛なんてのは、相手を如何に幸せに騙すか、なんだよ。別にこっちはヤリ棄てるつもりであったって、女性に気付かせなければ良心を痛める必要はないんだ。気付かせてしまったのなら、それは騙しきれなかった下手糞な恋愛であって、その下手さをしっかりと反省するべきだ。『短い恋が終わった、でも素敵だった』なんて向こうが思っているなら、わざわざ『ヤリ棄てただけですわ』なんて言わなきゃ良いだけでしょ。相手は『どこまでも上手く私を騙して』と望んでいるだけなんだから。恋愛なんて全てそういうもんさ。俺も上手に騙して欲しいと願ってる。だから俺も騙して騙して騙しまくるよ。それがお互いのためになるのだから。」
  
 童貞はね、真実の愛なんてファンタシーを夢見てしまうのだよ。夢見る童貞。
 他人は騙せても、自分は騙せない。そして、愛する人も騙せないのさ。う〜ん、マンダム。
   
 ちなみにこのガラモン、会社の女の子が妻子ある男性と不倫しているのを「勿体無いから自分を安売りするな」とか、積極的に恋愛相談に乗り出した挙句、自分だって奥さんがいるにも拘らずそのままイイ感じなってしまい、二人でしっぽりバーで飲んでいたところ、トイレに行ったタイミングで奥さんからケイタイに電話があり、運悪くテーブルに置いていったケイタイに嫉妬心からその女の子が出てしまうという自業自得の修羅場を演じました。
 最近、奥さんの手料理が怖いのか家での食事が減り、生命保険の額も急遽、減額したらしいです。「今のままの額では充分に動機になる」と、よくわけのわからないことを言ってました。
 生きるって、大変だね。